ESD試験(IEC 61000-4-2):実践的なコツと対策

接触放電と気中放電の選び方、結合板(HCP/VCP)、試験レベルの段階的な適用、合否判定基準、基板レベルの対策(TVS、接地、レイアウト)。

公開日: 2026-10-10 · 最終更新: 2026-10-10

静電気放電(ESD)試験は、人や物体からの放電に対するイミュニティを確認します。放電の立ち上がりは非常に速く(ナノ秒)、基板のレイアウトと接地が結果に大きく影響します。

試験方法

  • 接触放電:放電の前に、先端を導電部(金属筐体、ネジ、コネクタシェル)に接触させます。再現性が高いため、規格ではこちらが優先されます。
  • 気中放電:先端を絶縁面(プラスチックの継ぎ目、ボタン)に近づけ、空気中を通して放電させます。接触放電ができない箇所に使います。
  • 間接放電:水平結合板(HCP)と垂直結合板(VCP)への接触モード放電により、近くの物体からの放電の影響を評価します。直接放電と併せて実施します。

手順と合否判定基準

  • レベルを低いレベルから規定値まで段階的に上げていきます。製品規格に別の定めがない限り、基本規格ではそれより低いすべてのレベルも満たすことを求めています。
  • 製品規格および試験計画で定められた放電回数と極性で試験します(基本規格では、1点につき各極性10回が一般的です)。放電間隔も守ってください。
  • 結果は、製品規格の判定基準(正常動作の維持、自動復帰する一時的な誤動作、オペレータの介入が必要)で分類します。試験計画で事前に定義しておいてください。
適用するレベル(接触kV、気中kV)は製品群規格で定められています。本記事は方法を扱います。数値は規格本文で確認してください。

基板レベルの対策

  • TVSダイオードはコネクタのすぐ近くに置き、保護対象ピンへの配線をできるだけ短くします。配線のインダクタンスがクランプ電圧を押し上げるため、グランドへの戻り経路も短くしてください。
  • 放電電流をまずシャーシグランドへ流し、敏感な回路を通らないようにします。また、シャーシと基板グランドの間の経路を設計してください。
  • リセットや割り込みなどの敏感な信号には、RCフィルタとソフトウェアのデバウンスを追加します(計算ツール:RCフィルタ)。
  • 筐体の継ぎ目は、放電が侵入する経路になります。導電ガスケットや重ね合わせ構造を検討してください。

現場メモ

  • 気中放電試験中に、筐体の隙間から放電が内部に入るのを確認しました。ボルト締めだけでは不十分で、隙間に導電ガスケットまたは絶縁材を入れることが決め手でした。

関連する計算ツール

計算結果と要約は参考情報です。認証や試験成績書には、最新の規格原文と校正済み機器の値を使用してください。